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暗箱回廊

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愛知芸術文化センターにおいて、あまり使われていないスペースにインスタレーションを仕掛けるという企画。
五十嵐太郎氏、原久子氏、東谷隆司氏らの審査によって選出され、原久子氏をキュレーターとして実現した。
15個の、等身大の暗箱が展望回廊に連続して置かれ、回廊としての流動性を獲得すると同時に、着色された暗箱と加工された照明によって展望回廊がカラフルに変身し、人々をここまで誘引する。
暗箱は、ピンホールカメラになっていて、来訪者はその中に入り、外の像が反転して暗箱内に逆像としてゆっくりと現れるのを待つ。それは、かつてそこにあった記憶を切りとるののではなく、今、そこにある都市の像を抽出し蓄積し生きた記憶として網膜に露光し続ける装置である。
このとき、来訪者は、光を探し、迎えに行き、待つという行為を経て、驚きと感動を覚える。何もかもが、自光的で即レス的な現代において、この時間とは自分自身の肉体が持つ時間であり、忘れていた自分との再会でもある。

愛知芸術文化センター
2007 02 27-2007 03 11