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白山宮 足王社

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田園に囲まれた小高い山にある本殿の傍に計画された足の神様、アシナヅチを祀る社である。当初、本殿の参拝ルートの拡張と、参拝者が杜の中で佇む居場所を整備する目的として始まったプロジェクトであったが、足の神様を祀る場所「足王社」を作ることへと発展した。もともと境内にあった「痛みとり石」は参拝者が撫でると足腰の痛みが取れ、スポーツの神様としても親しまれてきた。街道を行き交う旅人が道中の足の安全を祈願し祀ったもので、人との距離が非常に近い道祖神的な存在である。足王社を設計するにあたり、社殿の基本となる軸は南北にとるが、参拝者がたどる経路は一方的な直線ではなく、多様で回遊的なものとした。社は細い木を組み合わせ作られ、木の隙間から漏れる光や杜からの風を感じながら誘われ、礼拝する。御神体の背後には光と木の柔らかな曲線に満たされた「洞の参道」に歩み入り、痛みとり石に触れ、帰途につくとき、杜と一体であることを実感する。この社殿は絶対的な神の存在を遠くからただ拝むのでなく、杜の一部である身近な存在の神の傍に寄り添い、触れ、また歩み出す。一連の関わり方を空間として組み立てたものである。